nonoway’s diary

40代、理学療法士の雑記ブログ

最近来られた認知症患者とご家族について

こんにちは。

 

最近、認知症の患者さんがこられました。

症状に程度の差はあれど、

認知症の方がうちのクリニックにくることは

珍しくはないのですが、

今回新しく来た方は、かなり重度の方でした。

 

 

 

最近来られた認知症患者について

 

70代の男性。

奥様に手を引っ張られながら、リハビリ室へと来られました。

パッと見た感じでは、杖など使わずしっかり歩かれていました。

 

私「これからよろしくお願いします。理学療法士のnonowayです。」

患者さん「(うなづきながら)はい。」

 

奥様「何もわかってないと思いますよ。」

 

奥様から、お話を聞くと、

要介護度は最重度の5。

日常の生活状態について尋ねると、

歩くことや立ちすわりは手を引っ張りながらなら出来ているが、

服の脱ぎ着、顔を洗ったり歯を磨いたりという整容動作、

お風呂での洗体動作はほぼ全介助。

尿意や便意の訴えもなくオムツを使用しており、

食事動作だけはかろうじて自分でできているとのこと。

意思の疎通は困難で、会話はほぼ成り立たないということらしいです。

 

患者さんご本人に、私が声をかけても、はっきりとした反応はなく、

「座ってください」「ベッドに寝てください」

と言っても、うまく指示は通らず、

手を引っ張りながら、なかば強引に促すことで、

なんとか動いてもらうという状態でした。

 

要介護度について

引用:https://www.minnanokaigo.com/guide/care-insurance/degree-of-care/

 

上記の表にある通り、

要介護5とは、一番重い状態です。

ベッドに寝たきり状態の方であったり、

ある程度動くことができても、

今回こられた患者さんのように、重度の認知症

意思疎通が困難で日常生活のほとんどで介助が必要な方でも

要介護5と認定されることがあります。

 

家族さんの要望と私の疑問

 

奥様は、ご家庭でご主人の身の回りの介護をすべてされており、

その中でご主人の立ち座りの動きが頼りなくなってきたために

足腰を鍛えてあげてほしいとの思いで、

当院のリハビリに来られました。

 

この話を聞き、

このご家族にとって、当院での外来リハビリで

ご主人の足腰を鍛えることが、

今、一番優先すべきことなのかと疑問に感じました。

 

奥様も、おそらく年齢は70代。

近い将来、介護疲れで共倒れしてしまう姿が浮かんできます。

当院でのリハビリが、ご主人にとって全く効果がないものだとは言いませんが、

奥様の介護負担を減らす為に、

最適な介護サービスを利用してもらうことが最優先では?

 

老々介護とは

老老介護」とは、介護者と被介護者がどちらも65歳以上の高齢者となっている状態のことです。

2017年の厚生労働省による国民生活基礎調査によると、老老介護は在宅介護を行う全世帯の約5割、超老老介護は在宅介護を行う世帯全体の約3割にのぼっており、今後もこの割合は増え続けることが予想されています。

老老介護や超老老介護は介護する側が「介護うつ」に陥ったり、自殺や要介護者への虐待などにつながったりする可能性があります。

引用:https://www.minnanokaigo.com/guide/homecare/elder-to-elder-nursing/

 

今回、書かせていただいたご家族のように、

自分の家族の介護は、

自分たちでなんとかするから大丈夫という思いの家庭

がまだまだ多いように思います。

 

高齢化が進んでいる現代社会で、

老々介護の問題は、珍しい話ではありません。

自分の両親のことだったり、

将来、自分自身が介護される側にもなるかもしれません。

若いうちから、介護サービスへの知識を持っておき、

介護によって、その周りの家族の生活の質まで落としてしまわないように、

正しいサービスを使っていくことが大事だなと思います。

 

ありがとうございました。