nonoway’s diary

40代、理学療法士の雑記ブログ

腱鞘炎を予防する方法 ~現役理学療法士が解剖学の視点から解説します~

こんにちは。

理学療法士のnonowayです。

皆さん、いつもブログの投稿お疲れ様です。

プライベートのブログ投稿以外でも、お仕事で毎日のようにパソコンに触れるという方も多いのでは?

そんな、パソコンと切っても切れない生活を送っている人たちにとって、気を付けなければならない事。

それは、手の痛み。腱鞘炎ではないでしょうか。

今、現在、痛みがあり、恐る恐るキーボードを打っているという方もいるのでは?

今回は、その腱鞘炎にならない為の工夫を、解剖学の視点から考えてみます。

 

 

 

指が痛くなりやすいパソコン

私も、パソコンを使う機会があるのですが、使っていて痛みが出やすいパソコンと痛みが出にくいパソコンがあります。

職場においてあるノートパソコンは、かなり小型でキーの下の空いている部分が少なく(イラスト参照)

また、パソコンを置いているデスク自体も小さいため、キーを入力しようとすると、少し手首を浮かした状態で打たなくてはいけません。(私の手が少し大きめなのも原因)

このパソコンだと、ものの数分で手のスジが痛くなってしまいます・・・。

 

指が痛くなりにくいパソコン

一方、自宅で使うパソコンは、ノートパソコンなのですが、キーボードの調子が悪く、外付けの大きなキーボードを付けて使っています。

こちらのパソコンを使う場合では、特に痛みを感じることなく、長時間使用できます。

 

こういう経験、皆さんもあるのではないでしょうか?

では、この痛みのでやすいパソコンでにくいパソコン、何が違うのでしょうか?

 

両者の違い

それは、ずばり、手首の位置にあります。

上記した、私の状況で説明させてもらうなら、職場のパソコンは、手首を置くスペースが十分でなく、少し浮いた状態で指先を使ってしまっており、

逆に、家のパソコンの場合は、手首を固定してテーブルの上に置いて指先を使えているということになります。

 

パソコンのタイピング動作の解剖学

キーボードを打つ動作では、中手指節関節(MP関節)の屈曲運動が生じます。

※屈曲(指を手のひら側に曲げる動きのこと)

キーボードを打つ時には、PIP関節・DIP関節も屈曲位となるため、主に作用するのは、浅指屈筋・深指屈筋と言われる筋肉になります。

手前に曲げる筋肉なので、手のひら側を走行しています。

そして、この浅指屈筋・深指屈筋を有効に作用させる為には、手関節(手首)を背屈位とする必要があります。

※背屈(手首を上に反らす動きのこと)

 

手関節を背屈位にすることで、手首の手のひら側を走行している浅指屈筋・深指屈筋がピンッと伸ばされる形になり、張力が高くなります。すると、力を入れていなくても、指先の関節が自然に曲がってきます。

 

この作用を、腱固定作用(テノデーシスアクション)といいます。

 

参照:https://physioapproach.com/tenodesis-action.html

 

ためしに、指先に力をいれずに、手首を後ろに反らしたり、手前に曲げたりしてみてください。後ろに反らすと指が曲がり、手前に曲げると勝手に指が伸びますよね?

 

リハビリでは、この作用を利用して、脊髄損傷で指を曲げる筋肉が動かなくなった人でも、手首を反らす力が残っていれば、物を握ることが可能になります。

 

 

疲れないパソコンの使い方

 

話を戻して、この作用を、パソコンの話に照らし合わせて考えてみましょう。

冒頭で、私の職場のノートパソコンは、手首を浮かした状態で利用するため、痛くなると書かしてもらいました。

手首を浮かした状態・・・ということは、手首が屈曲している状態。

※屈曲(手のひら側に曲げる動きのこと)

 

その状態では、キーを叩くために動く浅指屈筋・深指屈筋が弛んだ状態となり、過剰に力をいれて指を動かさないといけません。

また、腕を浮かしているので、指以外の腕全体の筋肉にまで余計な力が入っていることにもなります。

 

一方で、自宅で使うパソコンは、外付けキーボードで手首をテーブルの上に置いて固定したまま使用できます。

テーブル表面からのキーボードの高さは2㎝ほどあるため、手を置くと自然と手首が背屈位となり、前述した腱固定作用の為、浅指屈筋・深指屈筋が自然と曲がりやすい形になり、少ない労力でキーを叩くことができます。

※背屈(手首を上に反らす動きのこと)

 

まとめ

今日は、腱鞘炎を予防するための方法について説明させてもらいました。

 

手首を背屈位(後ろに反らした形)で保持することで、腱固定作用により、キーを打つ筋肉が動きやすくなり、指が疲れづらくなります。

 

パソコンを利用する際は、

 

  • 手首を固定できるスペースを確保する
  • 手首が背屈位(後ろに反らした形)でキーボードを打てるように高さを調整する
  • ノートパソコンの人は、外付けキーボードを利用する

 

以上の点に注意して、手を労わりながら、パソコンを上手に使っていきましょう。

 

ありがとうございました。